2021年12月19日

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2021年(日本)
114分
監督:李闘士男
脚本:坪田文
 
 
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原作未読。
伊集院光が出るというのが観に行った主な理由だけど、
クレジット見てたら美術に寺尾淳さんの名前を見つけて
小さな縁を感じるなど。
(寺尾さんは自分が好きな「魔法先生ネギま!」の
 実写版で美術を担当している)
 
以下、
伊集院光に関することを除いては
細かいネタバレはしないようにして
思ったことをつらつらと書いてますが、
読むにあたっては自己責任ってやつで、
ひとつよろしくお願いします。
 
 
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全方位調整型の主人公・春男(安田顕)を通して
地味で報われないけど日々を必死に闘っている中年男性の、
悲哀やささいな幸せをコメディタッチで描く。
 
…みたいな雰囲気を、
公式サイトが醸し出していて、
それは一面で正しいのだけれど、
公式サイトのあらすじは大仰に書かれ過ぎている印象。
 
誤解を恐れずに言えば、
その一面については
本当にどこにでもある些末な話で
これを映画という媒体で90分から120分で「観せる」というのは
かなりの力量が必要であり、
本作にはおよそその力量は無かった。
 
先が読めてしまうものを、
読めていながら納得して頷かせるのは難しい。
脚本だとか芝居だとかの出来・不出来ではなく、
題材の時点で背負ってしまっている相当なハンデを、
取り返すには至れなかった、という話。
 
唯一、失策だと言えるのは、
(これは原作者であるつぶやきシローの芸風であり真骨頂なので
 監督としてはそれを活かそうという意識もあったのだろうけど)
多用される主人公のモノローグに、
それを挿し込むことで芝居だけでも伝えられていたもの、
芝居だけの方が深く観客を頷かせられるもの、
笑わせられるものを、
ぶち壊しにしてしまうような、
余計なものがかなり多かったこと。
量で言えば、4割くらいは不要なモノローグがあったと思う。
(…のだけど、もしかしたら、
 あれを挿し込まないと気づかずに笑えないような人たちが多い可能性が
 否定出来ないのが、
 昨今のテレビやら何やらを巡るWeb記事等を読んでいて感じるところである)
 
そして、語り落とせないもう一面は、
後半の沖縄&プロポーズ編。
 
これに関しては、
単体で見ればドラマチックなラブストーリーで
機微の描き方もいいのではと感じるのだけど、
わざわざ題名にされている本作の主題からは大きく外れていて、
主人公がかなりの度量のいい男になってしまっているのが、
一本の映画として問題点じゃないかなと思う。
 
勤務先のスーパーでの出来事の大きな出来事に挟み込むことで
どうにか流れの中に収めようとしているんだけど、
あまりにも独立性が強いエピソードになってしまっているし、
沖縄に行けることになる話の流れを考えると、
主人公はこのラブストーリーに神経を割いている場合ではないことも、
座りの悪さを促してしまっている。
 
 

全体の面白さとしては、まぁ、普通だった。
チケット代返せとは思わないけど、
人にオススメしようとかもう一回観たいとも思わない。
 
 
2つのプロポーズのシーンでは泣いてしまったボクですが、
これは加齢により涙もろく、
且つこのテのシーンへの感情の揺れ幅が大きくなっていることが
影響していると思う(苦笑)
 
 
伊集院光、登場するや否やGo to あの世してしまっていた(笑)
マジかよと思ったね(笑)  
 
小池栄子、やっぱり好きだなぁと思った。
役としては、カレーについて追求しないところが良い。
 
ファーストサマーウイカの役と彼女のビジュアルとが、
かなり二次元していたのがちょっと可笑しかった。
 
カツカレー食べたい。


(22:00)